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カーリン引退へ、年内にもう1戦?

現地時間11月15日、昨年の米年度代表馬カーリン Curlin(牡4、米S.アスムッセン厩舎)が、今年限りで現役を退き、来年から種牡馬入りすることがわかった。オーナーのジェス・ジャクソン氏が明らかにしたもので、もし適切な条件・賞金のレースがあれば、年内にもう1戦させたいとしている。種牡馬としてどこに繋養されるかは未定。
カーリンは父スマートストライク Smart Strike、母シェリフスデピュティ Sherriff's Deputy、母の父デピュティミニスター Deputy Minister という血統の米国産馬。通算成績は16戦11勝で、G1は7勝。通算獲得賞金は1050万1800ドルで、米国調教馬では歴代トップ。現在チャーチルダウンズ競馬場で調整されている。
カーリンは元々ミッドナイトクライステーブルズの所有馬で、デビュー戦を12-3/4馬身差で圧勝した後に、ジャクソン氏らを含むオーナーグループが所有権の一部を獲得。その後グループ内でのやり取りがあり、現在はミッドナイトクライステーブルズが20%、ジャクソン氏(ストーンストリートステーブルズ名義)が80%の割合で所有している。
ただ、20%を所有するミッドナイトクライステーブルズを構成する二人の弁護士は、担当した裁判の和解金を横領したとして、すでに弁護士資格を剥奪されており、20%の権利は管財人の管理下に置かれている。この所有権問題は、カーリンがG1BCクラシック後に出処進退を明らかにできない理由の一つにもなっていた。
11月5日、その20%の権利がセリに掛けられることとなり、事態は解決の方向に向かうと思われた。公開の場で競り合うのではなく、書類に希望金額を書いて提出する形式で行われたこの異例のセリには、数件の入札があった。ジャクソン氏もカーリンの権利を完全に獲得するために、この入札に参加したと伝えられている。しかし、結果としては最低落札金額に届くものがなく、再び話が宙に浮いてしまった。
そのため、その最低落札金額が適切かどうか、つまり、現在カーリンの価値がどれくらいなのかということが問題となり、米オーヴァーブルックファーム(ストームキャット Storm Cat を繋養した名門)のアドヴァイザーでもあるリック・ウォルドマン氏が専門家として法廷に招かれ、17日に審理が行われた。
ウォルドマン氏はカーリンの価値を「2000万ドル」とした。実は8月にも同様の場が設けられており、その場でウォルドマン氏は「3000万ドル」としていた。今回はその時の3分の2と見積もった理由についてウォルドマン氏は、経済状況の急激な悪化と、時期の遅さ(米国の各種馬場はすでに来季のラインナップをほぼ固めており、中には配合相手が決定済みの繁殖牝馬もいるという意味)の2点を挙げている。
12月1日にもう一度審理が行われる。今回のウォルドマン氏の見積もりでは、20%の権利は400万ドル。ジャクソン氏はその値段でもう一度オファーを出したとも報じられている。ただ、ミッドナイトクライステーブルズ側の法定代理人はカーリンの価値を6000万ドル近くと見ている様子で、次回の審理で反論がありそうだ。


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