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豪でも馬インフルエンザ流行―6

9月27日現在、オーストラリアでは依然として馬インフルエンザ禍に対する取り組みが続けられている。
9月21日、今回最も被害の大きい東南部ニューサウスウェールズ州では、州政府が馬インフルエンザ流行の程度に応じて州全体を区分した。現在ウイルス流行中の地域はレッド、流行していない地域はグリーン、その間の要注意地域がアンバー(こはく色)。この3つが基本区分で、各ゾーンへの出入りは厳重に規制されている。
そして、レッドゾーンの中に「パープル(紫)・ゾーン」という特別区域が設けられた(※1)。馬産地ハンターヴァレーを中心とするこの地域は、ゾーン内の移動が自由。そして、どのゾーンからでも種付け目的の繁殖牝馬、種牡馬も運び込むことができる。当然、種付けも可能である。
ただし、一度入ったら許可なくパープル・ゾーン外に出ることはできない。再びパープル・ゾーンの外に出られるのは、ウイルスの流行が収まってから。期限は明らかではない。
もちろん、生産界はパープル・ゾーンを歓迎している。これまで検疫所を出られなかったシャトル種牡馬も続々パープル・ゾーン入りしており、ようやく本格的に生産シーズンがスタートということになりそうだ。
久々に流れた前向きなトピックだったが、それを打ち消すようかのようにまたネガティヴなニュースが流れた。
9月22日、ニューサウスウェールズ州ウォリックファーム競馬場で初めての陽性馬が確認された。これにより、同日観客を入れて行われる予定だったローズヒル競馬場での開催が中止に。同州の競馬開催正常化への歩みは大きく後退を余儀なくされた。
さらに9月24日、北東部クイーンズランド州ブリスベン近郊のドゥーンベン競馬場で陽性馬が発見された。同州ではこれまで競走馬には感染が見られていなかっただけに、大きな衝撃が広がっている。
現在、ドゥーンベン、イーグルファームといった州内の主要競馬場を含む広いエリアがレッド・ゾーン(※2)に。来年の1月31日までと長期にわたる競馬場の閉鎖も発表となった。
同州の競馬を主催するクイーンズランド・レーシングは、グリーン・ゾーンの競馬場で開催を行う方針。ただ、レッド・ゾーンから感染が拡大してはそれもできなくなるため、ワクチンの手配に動いている。
ただし、それを必要としているのはサウスウェールズ州でも同じこと。南東部ヴィクトリア州をはじめとするウイルス未感染の他州もウイルス流入に対する有効な防御策としてワクチンを求めている。
すでに5万本のワクチンがオーストラリアに到着したが、到底全ての需要を満たすものではない。各所から挙がっているワクチンを求める声は日増しに大きくなる一方、というのが現状だ。
※1
先週の「豪でも馬インフルエンザ流行―5」内で、パープル・ゾーンについて「緩衝帯」という表現を用いましたが、正確ではありませんでした。お詫び申し上げます。
※2
クイーンズランド州の区分は現在レッド、グリーンの2種類のみ。


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