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レーヴンズパス、念願のG1V/QE2S

現地時間9月27日、英アスコット競馬場でG1クイーンエリザベス2世S(3歳上、芝8F、7頭)が行われ、3番人気のレーヴンズパス Raven's Pass(牡3、英J.ゴスデン厩舎、J.スペンサー騎手)が優勝した。勝ち時計は1分38秒94、馬場状態は Good(稍良)だった。
1番人気のヘンリーザナヴィゲーター Henrythenavigator(牡3、G1英2000ギニーなどG1・4勝)は1馬身差の2着に、2番人気のタマユズ Tamayuz(牡3、G1ジャックルマロワ賞、G1ジャンプラ賞)は4着に敗れた。
レースは2頭のペースメーカーの主導権争いから始まった。スタート直後はタマユズ陣営が用意したラツィンガー Racinger(両馬ともハムダン・ビン・ラシッド殿下所有、仏フレデリック・ヘッド厩舎所属)がハナに立つ勢いだったが、ヘンリーザナヴィゲーター陣営が用意したオナードゲスト Honoured Guest(両馬ともクールモアグループ所有、愛エイダン・オブライエン厩舎所属)が猛烈な勢いで競りかけたために、ラツィンガーは先を譲った。
そのままオナードゲストは2番手のラツィンガーを6馬身ほど離しての逃げ。ラツィンガーから3馬身ほど離れた馬場の外目をタマユズが追走し、以下1馬身間隔で一列棒状となってレーヴンズパス、ヘンリーザナヴィゲーター、さらに伏兵サバナペルディダ Sabana Perdida(G2ウインザーフォレストSなど重賞3勝)と続いた。
直線に入り、オナードゲスト、ラツィンガーは失速(それぞれブービー、シンガリ)。変わって先頭に立ったのはタマユズだったが、これも直線半ばで末脚を失った。外からレーヴンズパスがタマユズを交わすと、そのままゴールへ一目散。ヘンリーザナヴィゲーターの猛追を受けたが、1馬身差で振り切った。
なお、タマユズはサバナペルディダにも差されて4着。勝ったレーヴンズパスからは8馬身余り離された。
レーヴンズパスは父イルーシヴクオリティ Elusive Quality(代表産駒に米2冠馬スマーティジョーンズ Smarty Jones)、母アスカットニー Ascutney、母の父ロードアットウォー Lord At Warという血統の米国産馬。通算成績は11戦5勝で、G1は初勝利となる。
同馬は2歳7月のデビューから2連勝で臨んだ9月のG3ソラリオSを7馬身差で圧勝し、続くG1デューハーストSでも3着(勝ち馬は後の英ダービー馬ニューアプローチ New Approach)。ハイレベルを謳われた欧州2歳牡馬陣でも屈指の存在だった。
期待に包まれて迎えた今シーズン、初戦のG3クレーヴンSで短頭差の2着に惜敗。G1英2000ギニーでは4着、G1セントジェームズパレスSでは2着と、いずれもヘンリーザナヴィゲーターに敗れ、G1ジャンプラ賞でもタマユズから1馬身半差の2着。さらに、続くG1サセックスSでは三たびヘンリーザナヴィゲーターに屈し、頭差の2着に泣いた。
惜敗続きにピリオドを打つべく一旦G1路線を離れ、臨んだ前走G2セレブレーションマイルを快勝。その勢いのままに、ここでヘンリーザナヴィゲーター、タマユズの両雄にまとめてリベンジを果たし、晴れてビッグタイトルを手に入れた。
次走はG1BCクラシック(10/25、米サンタアニタ、AW10F)かG1BCマイル(同、芝8F)だが、管理するジョン・ゴスデン師(以前カリフォルニアで調教師として活躍。1984年に行われた第1回のG1BCマイル勝ち馬ロイヤルヒロイン Royal Heroine は師の管理馬)は小回りコースを嫌っており、現状ではG1BCクラシック出走に傾きつつある(※)ようだ。
なお、2着のヘンリーザナヴィゲーターもG1BCクラシックかG1BCマイルのいずれかを目指す。陣営は今回の敗因をやや軟らかめだった馬場状態に求めており、巻き返しに自信を覗かせている。対照的に、4着に敗れたタマユズ陣営は、敗因が見つからずにやや意気消沈気味。今後の予定は馬の様子を見ながらとしており、BC遠征プランの撤回も視野に入れている様子だ。
※サンタアニタの芝8ハロンは馬場を一周する。オールウェザー10ハロンも馬場を一周するが、芝コースはオールウェザーコースの内側のため、芝の方が小回り。


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