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「改革ビジョン」素案承認、民間に運営委託へ

札幌市で9月7日、ホッカイドウ競馬に関する北海道知事の諮問機関、北海道地方競馬運営委員会の2007年度第1回委員会が開催され、赤字が続く同競馬の運営を民間に委託する「北海道競馬改革ビジョン(素案)」が大筋で承認された。
委員会で道農政部は、同競馬の現状と課題を説明。同競馬の馬主の約半数は生産者で、入厩頭数は全地方競馬の3割を占め、産地のセーフティネットと他地区への馬資源供給基地の役割を担っていること、2001年から取り組んできた運営改革で、発売実績は02年から4年連続で前年を上回り、単年度赤字もピーク時の3分の1に縮減したこと、同競馬を通じての雇用効果は約2400人で、関連産業を含めての経済波及効果は234億円に及ぶことなどが強調された。しかし、毎年度500億円前後の収支不足が見込まれるなど道財政自体が逼迫。累積赤字が約226億円にも上る同競馬の再構築に焦点が当てられた。
「改革ビジョン」によると、現在競馬を運営している北海道競馬事務所を廃止。新たに競馬振興室(仮称)を設け、予算・議会などの根幹事務を担当する。運営は道と一体で開催業務を担っている北海道軽種馬振興公社に一元化。公社は日高町に本部を移し、馬産地の行政・団体などからの増資や人材の派遣を受け、産地主導に転換する。また、施設の老朽化が目立つ旭川競馬場から来年度をもって撤退。集客力の高いJRA札幌競馬場は10年から賃貸料が上がるため開催を縮小し、低コストで運営できる門別競馬場にナイター施設を設置し本場化する。門別は3場で最も集客数が少ないが、現在売り上げの9割が場外発売に依存していることから、インターネットでの発売促進や収益率の高いミニ場外の増設に力を注ぐとしている。農政部では「今後は産地と一体となって這ってでも競馬を存続させたい」と明言。産地に立脚するという優位性を最大限に利用し、10年度までに赤字脱却と単年度収支均衡を目指し、実現しない場合は「競馬廃止もやむなし」と不退転の決意を示した。
委員会のメンバーは、これまでの運営改善を高く評価。素案も大筋で承認した。ただし、「新公社のトップに誰がなるのかが重要」「新公社に委託後も道の支援は不可欠」「生産地が競馬と深く関わることで日本産馬がレベルアップしてきた。産地を下支えするためにもJRAの支援が必要」「本当に2010年に赤字脱却できるのか」といった意見も出された。委員会では来月中旬に開催する次の会合で最終案をまとめ、高橋はるみ北海道知事に提言することを決めた。


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