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豪でも馬インフルエンザ流行―4

9月13日現在もオーストラリアの馬インフルエンザ禍は続いている。
9月5日、今回最も被害が大きい東南部のニューサウスウェールズ州(州都シドニー)では、同州における馬産の中心地・ハンターヴァレーで感染馬が発見され、生産者に大きなショックを与えている。
もちろん、日本でも報道されている通りだが、基本的に馬インフルエンザ自体は直接死に結び付く病気ではない。ただし、もともと体力面で問題を抱えた馬が罹患すると、衰弱が進み死に至る可能性がやや高まるとされている。
実際、8月30日にシドニーの西にあるウィルバーフォースという町で老馬が死亡したと報じられている。
豪州の生産者が最も懸念しているのは、抵抗力の弱い幼駒や胎児にウイルスの影響が及ぶこと。加えて、豪州ではこれまで馬インフルエンザ流行の前例がなく、ほとんどの関係者にとって未知の病でもあることも、不安を増幅させる要素になっているようだ。
ハンターヴァレーの感染は拡大傾向にある。9月10日には、ダーレーグループ所有のエミレーツパークでも感染馬が発見された。行き届いた管理が行われているエミレーツパークにもウイルスが侵入した事実は、新たな衝撃として捉えられている。
9月8日、「馬インフルエンザらしき症状で苦しんでいた競走馬が安楽死処分」となった(「馬インフルエンザで競走馬死亡」と一部で報じられているが、これは正確ではない)。
安楽死処分を受けたのはティップオブジアイスバーグ Tip of the Iceberg という6歳セン馬。ニューサウスウェールズ州北部のムーンビに厩舎を構えるルー・ハイソン師の元で調教を積まれていた。
同馬は7月29日にコフスハーバー競馬場でレコード勝ちを収めたほど体調は良く、健康そのものだった。しかし、9月5日に馬インフルエンザらしき症状を見せ、腸炎も併発。以降は悪化する一方で、手の施しようもなかった。その様子を見かねたハイソン師が苦渋の選択をしたものだ。
ハイソン師は、馬が苦しんだのは馬インフルエンザによる症状だと考えているが、現在同馬の遺体は検死解剖に回されており、正確なところはその結果待ち。そして「死因は馬インフルエンザ以外の他の何かだ」と関係者が漏らしていると、現地メディアは報じている。
政府は馬インフルエンザ対策に本腰を入れる構え。9月2日、元連邦高裁判事のイアン・カリナン氏をトップとする調査委員会を組織。侵入および感染経路の特定を進める。また、今回被害にあった関係者のために、総額1億1千万豪ドル(約105億円)の援助金も用意している。
9月13日現在、ニューサウスウェールズ州と、北東部のクイーンズランド州の2州以外での感染馬はいまだにゼロ。他州では徐々に落ち着きを取り戻しつつある。もちろん、いずれの州でもニューサウスウェールズ・クイーンズランド両州から許可なく馬を移動させてくることに関しては、引き続き固く禁じられている。


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